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09月08日-03号

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  1. 宮古市議会 1998-09-08
    09月08日-03号


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    平成10年  9月 定例会          平成10年9月宮古市議会定例会会議録第3号第3号平成10年9月8日(火曜日)---------------------------------------議事日程第3号 日程第1 一般質問        5番 山口 豊君 ・ゆとり創造宣言都市について………………69                 ・磯鶏小学校及び河南中学校の通学路について       23番 田中 尚君 ・国保事業について……………………………73                 ・団体等に対する補助金等の一律1割削減について       18番 城内愛彦君 ・(仮称)三陸沿岸空港誘致について………85        4番 中嶋 榮君 ・広がるいじめ増加に対する暴力の実態について……………………………………………………………………………………………………87                 ・不登校の実態等について---------------------------------------本日の会議に付した事件 上記日程のとおり出席議員(28名)   1番   千葉胤嗣君           2番   田頭久雄君   3番   三上 敏君           4番   中嶋 榮君   5番   山口 豊君           6番   近江勝定君   7番   沢田 勉君           8番   平沼 健君   9番   蛇口原司君          10番   中野勝安君  11番   佐々木武善君         12番   工藤 勇君  13番   中里栄輝君          14番   竹花邦彦君  15番   岩間 久君          16番   松本尚美君  17番   岩間 弘君          18番   城内愛彦君  19番   山野目輝雄君         20番   千束 諭君  21番   永浦奎輔君          22番   野沢三枝子君  23番   田中 尚君          24番   山崎時男君  25番   成ケ沢仁明君         26番   坂下正明君  27番   大久保 博君         28番   前川昌登君欠席議員(なし)---------------------------------------説明のための出席者  市長       熊坂義裕君       助役       小原富彦君  収入役      長門孝則君       総務企画部長   鈴木英夫君  総務課長     佐々木岩根君      企画調整課長   細越雅佐浩君  生活福祉部長   吉田 武君       地域福祉課長   岡田光彦君  財政課長     西野祐司君       税務課長     君沢清吾君  市民生活課長   大森 翼君       教育長      中屋定基君  教育次長     鼻崎正亀君       産業振興部長   松田辰雄君  商工観光課長   宇都宮 満君      都市整備部長   伊藤行雄君                       農業委員会  建設課長     鈴木健市君                腹子哲男君                       事務局長  監査委員事務局長 刈屋敏彦君       水道事業所長   菊池淳雄君---------------------------------------議会事務局出席者  事務局長     田鎖勇平        事務局次長    坂本邦雄  議事係長     山口 周        速記員      駒井和子 △開議              午後1時01分 開議 ○議長(蛇口原司君) ただいままでの出席は28名でございます。定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。--------------------------------------- △日程第1 一般質問 ○議長(蛇口原司君) 日程第1、一般質問を行います。順次質問を許します。 5番、山口豊君。             〔5番 山口 豊君登壇〕(拍手) ◆5番(山口豊君) 私は、平成10年9月定例議会におきまして、質問通告に従い2点について順次質問をしますので、当局のご答弁をお願いいたします。 まず第1点目といたしまして、「ゆとり創造宣言都市」についてでございます。 このことは、既にご承知のとおり、宮古市が全国労働基準関係団体連合会が推進しております「ゆとり創造宣言都市」に選定されたことに端を発します。ゆとり創造宣言都市奨励事業は、時短などゆとりある市民生活の実現を目指すものでございます。 「ゆとり創造宣言都市」に選定されました宮古市におきましては、当時の平井東幸宮古短大教授を座長に選任しまして、学識経験者、市会議員、市民、労働者、使用者、報道関係、そして行政の代表者10名でもって「宮古市ゆとり創造プラン協議会」を発足させました。 そして、その基本姿勢といたしまして「ゆとりある勤労者生活の実現には、地域ぐるみの機運の醸成が大切である」、そして、その上にたって「ゆとりと潤いのある生活、家庭のきずなの強化、地域文化の振興などに結びつけたい」との宣言のねらいを定めました。宮古市独自の「ゆとり創造プラン」の策定に当たったわけでございますが、その後、数次にわたり協議会を開催いたしまして、平成6年2月4日に「宮古市ゆとり創造プラン」をまとめ上げました。 そのまとめ上げましたものを、平成6年3月24日に同協議会から宮古市に対して「宮古市ゆとり創造プラン」が手交されましたし、同じ日に宮古市役所正面の入り口前にあります「ゆとり創造モニュメント」の除幕式も行われた経緯がございます。 プランの内容を見ますと、ゆとり創造のための柱となります7つの項目を中心にいたしまして、34項目の取り組み課題が掲げられております。 底知れぬ不況が長引く今日、ゆとりにつきましては二の次、三の次へと追いやられてしまいそうな機運にあるわけでございますけれども、プランにも盛られておりますとおり、激しく変動する社会、そして景気不振が長引く中にありながらも21世紀へ向けて長期的な視野に立ち、私たち宮古市民に、いま最も必要なのは一人一人が日々の生活に活力とゆとりを生み出し、安らぎがあり、生きがいを実感できるまちをつくることにある。まさにプランの示しているとおりでございます。 そこで、具体的にお伺いしますが、平成6年3月24日に「宮古市ゆとり創造プラン協議会」から宮古市に対して「宮古市ゆとり創造プラン」が手交されましてから4年が経過しておりますが、この間どのような取り組みがなされてきたのか、お聞かせ願いたいと思います。あわせて、県内におきましてゆとり創造宣言都市に選定されている市はどこか、おわかりでしたらよろしくお願いいたします。 質問の第2点目でございますけれども、現在磯鶏小学校及び河南中学校の通学路として利用されております竹洞踏切安全確保についてでございます。 この竹洞踏切におきまして、当時河南中学校へ自転車で登校中の男子生徒が、列車にはねられて亡くなるという痛ましい事故が発生しましたのが、昭和62年の12月でございました。それから今日まで、11年間以上にわたりまして、八木沢地区の中学生を持つ親たちは、登校時間であります朝7時半から8時まで、安全確保のために毎朝3人ずつが交代でこの竹洞踏切に立っております。また、親が立つことを条件にしまして、ここを通学路として認めているわけでございます。 さらに、最近になりましてからは、宮古短大前いわゆる河南地区でございますが、次から次へと新築がなされておりまして、今度は逆に河南地区からの小学生がこの踏切を通って登校するという新たな状況が出ております。小学生の登校に際しましては、親が交替で付き添い、この踏切を集団で渡るようにして安全確保に努めております。河南地区への新築は今後も続くものと思われますし、さらに将来的には団地も造成される予定になっております。したがいまして、この竹洞踏切を利用する生徒は、ますます多くなることが予想されます。 そして、問題はさらにございます。小学校、中学校ともに保護者によります踏切の安全確保は、朝の登校時のみでございまして、下校につきましては、個々に帰宅するという実態でございます。11年前の事故が起きた当時に比べますと、竹洞踏切にはミラーが設置されたり、自転車等の進入を防ぐための防護柵が設置されましたり、列車も警笛を鳴らすなど、安全策を講じてはおりますけれども、本当の意味での安全確保のためには、地域、学校、行政が一体になりまして、JRに対しまして遮断機及び警報機の設置をお願いすべきと考えますが、市当局の考え方をお伺いいたしたいと思います。 なお、参考のために申し上げますが、現在、この竹洞踏切を利用しております生徒数は、中学生が76名、小学生が23名とのことでございます。 以上2点につきまして、お伺いいたしますのでよろしくお願いいたします。 なお、再質問につきましては自席より行わせていただきます。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 松田産業振興部長。             〔産業振興部長 松田辰雄君登壇〕 ◎産業振興部長松田辰雄君) 宮古市ゆとり創造プランについてお答えを申し上げます。 宮古市は、平成5年8月にゆとり創造宣言都市に選定をされました。この目的は、労働時間の短縮を図ることにより、市民一人一人が日々の生活に活力とゆとりを生み出し、安らぎがあり、生きがいを実感できるまちをつくることとしております。 議員ご指摘のとおり、平成6年2月4日に宮古市ゆとり創造プランが策定され、宮古市のゆとり行政の指針が示されました。翌3月には、ゆとり宣言都市になったことを記念し、本庁舎前に宮古市を代表する魚、さけをあしらったモニュメントを設置し、市民に宮古市がゆとり創造宣言都市であることを広くPRしてまいりました。 具体的な、ゆとり創造プラン取り組みといたしましては、平成6年度は、ゆとり創造月間のPRも兼ね、ゆとり創造事業として自然歩道を歩こう会を実施し、 129名の参加をいただき自然歩道を歩くことにより、身近な自然に触れてもらうとともに、余暇の過ごし方について考え、実感していただくよい機会になったことと思われます。同様に、7年度はとどヶ崎を歩く会、8年度は自然歩道を歩こう会を実施し、それぞれ多数の市民の皆様の参加をいただきました。また、昨年は市民にもっとゆとりを身近に感じていただくための一助に、市立図書館が主催する第31回市民川柳会を楽しむ会とタイアップし、ゆとりをテーマとした川柳を広報及びチラシにより募集し、広く市民に周知し、ゆとりのあり方について考えていただく月間としたところであります。本年度も、ゆとり宣言を募集するためチラシをし、市施設窓口等に置き、多くの市民に投句していただく予定であります。 ご承知のとおり、平成9年4月1日から週40時間労働制がスタートいたしましたが、本年4月に宮古労働基準局が行った実態調査によりますと、県内事業所の達成率は61.3%、宮古市内は61%となっており、この割合を高めていくため、9月1日付市の広報に掲載したところでございます。今後も、労働省が実施している事業主への助成金制度の案内など、合わせて機会あるごとに市の広報等を通じて周知に努めてまいります。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 吉田生活福祉部長。             〔生活福祉部長 吉田 武君登壇〕 ◎生活福祉部長(吉田武君) 竹洞踏切は、かつては農地を耕作してしている方々が利用するための踏切であったものが、ここ数年、周辺農地の宅地化により、児童・生徒が通学に利用するようになったものであります。線路は直線状でありますが、踏切の前後の通路の形態が悪く、坂道が踏切に通じるような状況であることから、市といたしましては、自転車に乗車したままの通行は非常に危険であると考え、安全確認を確実にするための防護柵とミラーの設置を行った経過があります。 ご質問の踏切の安全確保の対策でありますが、これまでも数度にわたりJR宮古工務区に対しまして、警報機等の設置をお願いしてきたところであります。また、本年、八木沢団地の方から同様の提言がなされた際にも申し入れをしたところでありますが、従来と同様、設置の計画はないとの回答を得ております。 近年、JRにおきましては、線路と道路の平面交差の踏切について、危険防止と経費面からの事情によるものと考えられますが、廃止の方向にあるということで極めて難しいものと考えます。遮断機及び警報機の設置には多額の費用がかかることから、今後安全な通学路の確保という観点に立ち、教育委員会、地区の各学校、PTAの皆さんのご意見を聞きながら、早急に検討してまいりたいと存じます。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) ゆとり創造月間を定めまして、その月に自然歩道を歩こう、あるいはゆとりをテーマにした川柳等々の行事に取り組んできていることについては、それなりに理解もし賛同いたしますが、しかし私から言わせてもらいますと、大変失礼な言い方になるのでお許しください。 それは、ゆとり創造月間であるから、何かをしなければならないという目的が先にきているのではないか、そう感じとれるわけでございます。と言いますのは、全国労働基準関係団体連合会が推進しておりますゆとり宣言都市奨励事業には、時短などゆとりある市民生活を目指すものであると、その目的をはっきり明記しているわけでございます。ですから、自然歩道を歩こう会、ゆとりをテーマにした川柳、あるいはボランティア活動等へ参加、そういうものが先にあるのではなくして、そのための時間的な余裕をまず時短によってつくり出して行こうというのが基本的な考えにあるのではないかと思います。 市当局からも話されましたとおり、週40時間労働制のもとでの一定規模以下、又は一定の業種の事業所について、週40時間制の猶予措置が講じられておりましたが、これらの猶予措置は平成9年3月31日で終了しておりまして、平成9年4月1日からは特例措置対象事業所を除き、全業種、全規模において週の法定労働時間が40時間とされたわけでございます。 しかし、そうは言いつつも今日の経営環境の厳しさから、賃金コストの上昇等によります負担増もありまして、特に中小零細企業におきましては、この40時間制が定着するまでには、いろいろな工夫と時間を必要とすると思われます。 そのような状況にありますけれども、市におかれましては引き続き、ゆとり月間でのこれまで取り組んできた諸行事にこれからも取り組んでいただきたいと思いますが、さらに大切なことは、宮古市ゆとり創造プランにもありますように、ゆとりある勤労者生活の実現には地域ぐるみの情勢が大切であるとありますように、まず宮古市がゆとり創造宣言都市であることの宣伝、平成9年4月1日から週の法定労働時間が40時間になったこと、さらにはノー残業デイの勧奨等、市当局からもお話がありましたが、ぜひ市民に対しまして広報等々を通じて、ゆとりを生み出すための宣伝と言いますか、啓蒙活動を積極的に行い、地域ぐるみの醸成を図っていくべきではないのかと思います。そのことにこそ、もっと力を入れていくべきではないのかと考えますが、市当局のお考えをお伺いします。 ○議長(蛇口原司君) 松田産業振興部長。 ◎産業振興部長松田辰雄君) 確かに、ゆとり創造宣言の中の34項目の中にも時短推進のPR、促進奨励、あるいは助成金制度の普及いわゆるゆとりのまちのPR等々ございます。当然に、今後もそういうもののPRをしてまいりたいと思います。 前段壇上で質問がありました、13市の宣言都市の部分の答弁をしてございませんでしたので……県内では13市のうち6市、花巻、水沢、北上、一関、盛岡という形で、宮古合わせて6市が宣言都市に指定をされてございます。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) 時間短縮に関しましては、一長一短にしてできるものではございませんので、プランにもありますように、地域ぐるみのそういうルートといいますか、そういう雰囲気ってものをつくるようにぜひ今後とも宣伝活動をお願いしたいと思います。 以上でこの点については終わりますが、次に、竹洞踏切安全確保についてでございますが、当局からお話がありましたとおり、JRにおきましては、自動遮断機及び警報機を設置する計画がないということはこれまでも聞いてきたとおりでございます。もし、この踏切を利用しない通学路となりますと、小山田トンネルから磯鶏へ向かう道路を利用することになりまして、踏切を利用するよりも 500mほど遠くなるということでございます。 さらに河南地区の小学生は、小学校を通り過ぎてUターンして登校することになりますので、さらに遠くなるものと思われます。ですから、どうしても子供たちは踏切のある近い道路を利用するという、やむを得ない事情にございます。 したがいまして、学校及び地区の人たちにとりましては、何としても遮断機と警報機をつけてもらうことが切実な願いとなっております。そして、毎朝、踏切に立つ人たちを見ますとお母さん方が多く、最近は共働きも多いわけでございまして、仕事をしている主婦にとりましては、朝の7時半から8時までという時間は大きな負担になっているものと思います。その苦労を乗り越えまして、今日まで11年間交代で踏切に立ってまいりました。このままでは、いつまでこの状況が続くのかも見通しがつかない状態でございます。ぜひ行政としましても、この実情をさらにJRに訴えると同時に、何としてもそれが不可能なら歩道橋を設置するお考えにはならないのかどうかお伺いしたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 吉田生活福祉部長。 ◎生活福祉部長(吉田武君) お答えを申し上げます。 確かに、現地を利用する方にとっては、非常に最短距離ということで利用したいということはそのとおりだと思います。ただ、やはりあそこの全体を考えた中で、踏切だけ改良あるいはそういう施設を設置していいのかとなりますと、いわゆる、県の二級河川の八木沢川に架かっている土橋、あれの非常に危険な状態も見ております。ですから将来やはりどういう形であの町が整備されるのか、そうしたのも含めて将来的課題として検討すべきだろうとこのように思っております。 ○議長(蛇口原司君) 山口豊君。 ◆5番(山口豊君) ただいま将来的なというお話がございましたので関連してお話ししますが、将来的な話をしますと、今後とも河南地区におきましては新築が続くものと思われますし、さらに団地の造成も予定されております。 現在は、八木沢地区河南地区はJRの線路によって分断されておりますけれども、この2つの地区をつなぐといいますか、車の通れる連絡道が将来は必要になると思います。全く私の個人的な考えですけれども、八木沢ショッピングセンターから下りてくる道路は、JRの線路よりも相当高い位置にありますので、道路のかさ上げもすることなしにそのままJRの線路の上を通って、河南地区へ道路をつなげるのではないかと思います。さらには、現在の路線バスは八木沢行きと短大行きのそれぞれがありますけれども、短大行きの路線が少ないためでしょうか、短大生や河南地区の人たちがこの竹洞踏切を渡りまして、八木沢バス路線を利用している実情にございます。 もし、将来的に連絡道ができましたならば、八木沢経由河南地区へ回るバス路線、あるいは逆回りの路線もできるようになるでしょう。そしてさらに、中学生も小学生もこの連絡道を通って通学できるものと考えます。遮断機になるのか、歩道橋になるのか、あるいは連絡道になるのか、いずれ通学路の安全の確保につきまして、早急に対処してくださることをお願いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
    ○議長(蛇口原司君) 次に、23番、田中尚君に質問を許します。 田中尚君。             〔23番 田中 尚君登壇〕(拍手) ◆23番(田中尚君) 私は、既に通告しております2つの項目について一般質問を行わせていただきます。 その1つの国民健康保険事業についてでありますが、この問題につきましては私ども日本共産党は、さきの市議会議員選挙におきましても、これの引き下げを訴えてまいりました。 先ごろ行われました参議院選挙におかれましても、今の日本の財政の使い道が公共事業50兆円、社会保障20兆円という、いわばこの逆立ちした税金の使い道を国民のためにこれを正す。こういうことが大きな国民の支持を受け、先の選挙では日本共産党が大きな躍進をさせていただきました。このことに見られますように、いま本当に国民のために税金を使うこの点では、福祉や社会保障の充実が極めて緊急な課題であることを私は物語っていると思うのであります。 とりわけ国民健康保険事業につきましては、国民皆保険制度を目指しました社会保障制度の大きな柱であります。 ところが、今日、宮古市に限らず全国でこの国保事業の問題点は、国が国庫補助を減らしたために全国の市町村と国保事業に加入される方々の大きな負担となって、他方では大きな滞納額が生まれている反面、年々積み立てられる基金が増大するという、こういう状況が生まれているわけであります。私は国民健康保険事業が国の制度である以上、国がこの問題に対する本来の責任を果たす。このことを前提にしながらも宮古市が抱えておりますこの問題に対する幾つかの改善点につきまして、その後どのようにこれが取り組まれてきているのかについて、質問いたしてまいりたいわけであります。 そこで、質問通告にもございますように、まず第1点の適正な医療費に見合った加入者の負担の問題であります。 この点つきましては、6月の定例会におきまして国民健康保険税の税率の見直しが行われました。 その理由は、国民健康保険事業の加入者が漁業者の方や農業者、自営業者など多くの加入者の方々が、負担能力に弱さを抱える低所得層の方々がたくさん入っておられるにもかかわらず、過大な負担になっている。これの見直しが求められているわけでありますが、残念ながら国におきましては、今の国民健康保険事業の課税負担の割合が中間所得層に著しく偏っている、これを是正しなくてはならない。 こういうことが大きな問題とされ、宮古市もその視点で税率の見直しを行ったわけであります。私どもは全体とすれば保険税の引き下げにつながる、さきの見直しには賛成をしたわけでありますが、今後の問題としては所得は年々伸び続けるものであります、普通の場合ですと。これは、その各事業所の賃上げ等々も含めまして、普通であれば、所得は年々伸び続ける。これが正常な経済の形であります。 今回負担の平準化によりまして応益の部分と言いますか、均等割と世帯割の税率を引き上げて、同時に応能割と言われております資産割と所得割にかかる税率を引き下げたわけでありますが、これのトータルが今回どのようになったのか。私どもの6月議会に対する説明では、応能が54.1%、応益分を40%を超えることによって、新たに低所得層に対する2割の保険税の軽減が行える。こういうことで実施されたわけでありますが、今回の負担の平準化に伴う、昨年の税金に比べまして、今回増税になりました世帯数と金額、割合はどうなっているのか、改めて課税の実態に即して、明らかにしていただきたいと思うのであります。 質問の第2点は、税の減収予測が6月の定例会におきましては、2億 4,000万円の減収を見込みながら、なおかつ10年度の国保会計の決算は、前年度の積立金を取り崩しをしなくても十分国保事業の運営ができる、こういう説明でございました。 今回、2億 4,000万円の減収予測が約 5,000万円狂ったことによりまして、1億 9,000万円ほどの減収規模となったと言われております。今回の保険税の見直しは、結果として前年度からの基金をさらにふやすことになるのではないかと思うわけでありますが、この点についての市当局の見解と今後の対処の仕方につきまして、お伺いをしたいわけであります。 質問の第3点、創設の2割軽減についてであります。 これは、該当者が宮古市に対して自ら「減免を希望します」、こういう申請をしなければあくまでも2割の軽減の恩恵が受けられない、こういう内容であります。しかし、これにとどまらず、差し引きトータルで増税になるという方々も当然出てくるわけであります。この問題につきましては、宮古市は低所得層に対する負担の軽減を極力図る、こういうことで努力をされているようでありますが、課税の実態に照らして、今後どのような対策を考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。 質問の4点目であります。 この問題につきましては、国民健康保険法が本法ではさきの国会の改正によりまして、保険税の滞納を理由に保険証を取り上げる、保険証の代わりに資格証明書を交付する。これは窓口で全額医療費を払わなくてはならない、こういう内容であります。 ご存じのように、国民健康保険制度は、窓口で医療費の3割を負担する。これが保険証の効果でございますが、資格証明書はそれ以上に厳しく、滞納を理由にいわば社会保障のサービスが受けられない。こういうものが初めて国民健康保険事業に持ち込まれた。これが過去の制度改正の経過でございます。 私は、宮古市は資格証明書は発行してありませんが、6カ月、6カ月の短期保険証を交付している県内でも数少ない市町村だと認識しているわけでありますが、この社会保障事業にいわば税金をあなたは納めている、あるいは滞納しているから本来のサービスにいささか制限が生ずる、このことは私は大変大きな問題であると思うわけであります。 したがいまして、このようなペナルティ的要素の強い短期保険証の発行につきましては中止すべきと思うのでありますが、市当局のこれまでのこの問題に対する評価も含めて、見解をお聞かせをいただきたいと思うわけであります。 以上が国民健康保険事業についての質問であります。 2つ目の問題は、市内の各種団体に対する補助金のあり方についてであります。 この問題につきましては、宮古市の逼迫した財政事情を理由に本年度の予算編成におきまして、市内の各種団体に対する補助金等の1割削減が基本的に実施されたところであります。私は、市内の団体に対する補助金のあり方につきましては、それを行う以上、当然その事業に対する奨励的なもの、あるいはまたその補助金の交付なしにはその団体が目的を達成するのに困難だと思われる場合に、なおかつ公共的な公共性を有する場合に、その補助金の支出が市民の理解が得られるものと思うわけでありますが、宮古市が今回一律1割カットという形で行ったことのこの補助金負担金等に対するこうした対応は何に基づいて行ったのか。 また、今後どのようにこれを改善しようとしているのか、この機会に当局の見解をお聞かせをいただきたいと思うのであります。 同時に2つ目の問題でありますが、補助金の性質が宮古市におきましてどのような基準によって財政の支出が行われているのかという問題であります。 この点につきましては、国の補助事業に伴いまして、法律によっていわば市町村に支出が義務づけられたものと、宮古市の施策的な判断から独自に支出が行われるものと、大別するとこの2つに分けられると思うのでありますが、市民にとりましては補助金がその団体に対して、本当に効果が上がるように行われているのか、中には必要がないのもあるのではないか、こういうものも見受けられるのではないかと思うのであります。 したがいまして、適用基準とこの補助金支給の透明性の確立こそが、今日市財政が効率的な財政運営をいわば市民に求められている今日、こうした点での明快な基準の確立こそ必要ではないかと考えますので、この機会にお聞かせをいただきたいと思うわけであります。 以上をもちまして、私からの壇上の質問を終わります。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 吉田生活福祉部長。             〔生活福祉部長 吉田 武君登壇〕 ◎生活福祉部長(吉田武君) 国保事業についてお答えいたします。 このたびの税改正におきまして、応益割合が45%を超えたことに伴い、平等割と均等割に対する軽減割合が従来の6割、4割から、それぞれ7割、5割さらに2割軽減と、軽減の割合が拡充されることになりました。 しかしながら、軽減がかかっても平等割、均等割もともに上げましたので、従来の税額よりも増額になる所得階層の方が出てまいります。税の平準化を行うに当たりましては、応益割合を引き上げ、応能割合を引き下げるという性質上、どうしても税額が上がる方が出てくるのは避けられないところであります。すべての国保加入者の税額を下げながら、あわせて平準化を行うことは国保制度の維持を図る上で不可能なことであります。また、平準化を図る上では、低所得者層の負担の増加と中間所得者層の負担の減少は避けて通れないものであります。 そのような状況の中で、今回の税率改正は税額が上がる階層の方々ができるだけ負担が少なくなるよう検討を重ね、国保財政調整基金の取り崩しを含めた中で、今後5カ年の収支状況を検討し、税率の設定を行ったものであります。 また、増税となった世帯数等についてでありますが、世帯数は約 3,600世帯で、金額は約 3,100万円となっております。また、減税になった世帯数は約 6,000世帯で、金額は約2億 800万円となります。さらに、限度額を超えているため同額となった世帯数は約 500世帯であります。また、申請によって2割軽減の対象になる世帯数は 1,045世帯で、金額は約 1,700万円となります。 それらを加減いたしますと、減税額は約1億 9,400万円となります。ただし、まだ国保税の未申告の方々がおられますので、その申告が促進されるにつれて減税額はさらにふえていくものと考えております。 このたびの税率改正では、今後の国保会計の運営におきまして、国保会計に対する国保財政調整基金の取り崩しを予定した形で収支を見込んでおります。したがいまして、減収予測との差額分が基金の増加につながるかどうかにつきましては、今後の基金の取り崩し額に若干の変動を及ぼすことはあっても、基金の増額につながらないものと考えております。 国保税の軽減につきましては、法定減額と任意減免がございます。法定減額につきましては、地方税法第703 条の5の規定によりまして、一定の所得以下の世帯の均等割額と平等割額を減額する制度があります。任意減免につきましては、地方税法第 717条に規定があり、地方公共団体の条例の定めるところにより、国保税等を減免することができることとされております。 この規定を受けて宮古市国民健康保険税条例第9条の2で規定しております。この規定は本来、税の負担能力、担税力といいますが、弱いものに対する救済措置として設けられているものでありまして、具体的な担税力のいかんに着目して決定すべきものであるとされております。 減免できるものを具体的に申し上げますと、1、天災、その他特別の事情がある場合において国保税の減免を必要とする者と認めるもの。2、貧困により生活のため公私の扶助を受ける者。3としまして、その他特別の事情がある者が対象となります。 このように、任意減免は被保険者の医療を保障するための相互扶助制度としての国保事業にありましては、真にやむを得ない場合に限って、あくまでも納税者の担税力いかんによって、他の加入者にも納得できる状態と認められるような場合に適用されるものでありまして、所得金額の多寡によって画一的な基準を設けて減免を行うことはできないと考えております。各被保険者の医療費の負担を、全被保険者で支え合っている制度の中で、今後も被保険者間の負担の公平を保持していかなければならないものと存じますので、ご理解をいただきたいと存じます。 短期被保険者証の交付は特別の事情がないにもかかわらず、保険税を長期に滞納している被保険者に対し、滞納の解消対策として、また被保険者相互の負担の公平を図るため、実施しているものであります。国保税が過去3年間すべての年度において滞納があり、その滞納額が30万円以上の世帯主について実施されているものであります。 平成9年度における、短期被保険者証の交付状況でありますが、過去3カ年すべての年度に滞納があり、そしてその額が30万円以上で分納していない世帯 105世帯と、同様の状況で分納している世帯は57世帯であります。また、その滞納額は1億 2,400万円となっております。 国保財政を維持していく上で、重要な課題である税収の確保を図るためのやむを得ない措置であると考えておりますので、ご理解いただきたいと存じます。 以上、答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 鈴木総務企画部長。             〔総務企画部長 鈴木英夫君登壇〕 ◎総務企画部長(鈴木英夫君) 団体等に対する補助金等の一律1割削減についてご質問にお答えいたします。 本市の財政状況は長引く景気の低迷により、市税、地方交付税等の一般財源の伸びも期待できず、また公債費等の義務的経費が増嵩するなど、ここ数年は極めて厳しい財政運営を覚悟せざるを得ない状況でございます。 したがいまして、新たな行政課題、あるいは行政需要に的確に対応するため行財政改革を進める中で、事務事業の見直しを進め、従来にも増して自主財源の確保に努めるとともに、事業の選択に当たっては優先度、緊急度をより明確にし、効果的な財政運営を行う必要があると考えております。 このような状況から、平成10年度予算編成におきましては、事業のスクラップ・アンド・ビルドを積極的に行うこと、新規事業は宮古市総合開発計画に計上され、緊急不可欠なものに限定すること、今後予想される新たな行政需要に対応するため、前年度当初予算の事業量の10%を削減することなどを基本方針といたしまして、歳入については手数料などの改定を行い、また歳出について事業の厳選による投資的経費の削減や市単独補助金の一律10%の削減などを行ったところでございます。このような中で、補助金等を交付している各種団体にも本市の厳しい財政事情をご理解いただきまして、それぞれの団体の自助努力により自立的な活動をお願いしているところでございます。 各種団体等は、それぞれ団体の性格、会員の構成、事業の内容、歴史的経緯等もさまざまであり、個別に補助金の見直しをすることは極めて難しいことから、厳しい財政事情を踏まえ一律にご協力をお願いしたところでございます。また、補助金の交付団体に対する適用基準につきましては、補助金等の合理化に関する事項を調査、審議いたします宮古市補助金等合理化調査委員会におきまして、各団体ごとの事業計画、収支計画等を審査し決定しているところでございます。 今後とも国の経済対策に伴う特別減税の実施、公共事業等の追加など財政環境が一層厳しさが予想される状況にありますので、以上ご理解のほど、どうかよろしくお願い申し上げます。 以上で答弁とさせていただきます。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 一通りお答えをいただきました。 しかし、答弁の中身でありますけれども、私お答えを聞いておりまして、中にはおやと思うのもありましたので、改めて再質問をさせていただきます。 その1つは、国民健康保険事業の収支の予測でありますけれども、今回、我々には2億 4,000万円の減収をして、なおかつ10年度の国保事業の財政見通しというものが示されております。その中には、前年度からの積立金の取り崩しはございません。先ほどの部長のお答えですと、積立金等も取り崩してというのがございましたが、これは5カ年のスパンで見れば、例えば10年度以降収入が不足したときに積立金を取り崩すと、そういう計画にはなっておりますけれども、私が聞いておりますのは、10年度当初の保険税の引き下げの際にも、積立金の繰り入れは見ていなかったという事実であります。 そういう状況の中で、減税の規模が少なくても先ほどお答えがありました1億 9,400万円、未申告の方があるのでこれからその方々が申告をすればふえるという話ではありますが、基本的には1億 9,400万円です。 そうしますと、 5,000万円の差が、我々に対する説明と実際とで生じているというふうに、これはなるわけであります。そうしますと、収入と支出を考えた場合に 5,000万円の国保税の税収増というふうに私はなるというふうに理解したのですが、その点当局の理解と私の理解と違っているのであれば、もう一度お答えをいただきたいというのが第1点であります。 もう1つは、低所得者層に対するその減免、これは法定減免つまり法律は、本人が申告しようがしまいが、自動的にそういう部分に対しては、一定の所得基準に該当する世帯であれば税を減免するというのは、これは今までもやられてきている中身でありますが、問題は市が行う任意減免の部分です。 これは、宮古市の条例にもあると、9条の2というお答えでございましたが、実際に市のこの条例を受けました規則を見ますと、これは事実上災害に限定されているというのが実情であります。過去にも、ことしもちょっと妙な天候なのですが、災害によって打撃を受けた農家等々、要するに減収になるということなんですが、そういう場合には、宮古市も過去において任意減免つまり保険税の軽減を実施してきておりますが、それは極めて本法が考えております所得が、いわゆる保険税を負担するのに非常に問題があると。つまり、担税能力において、課税するのは適当でないという部分について、宮古市がその範囲をどこまで考えるのかという部分が事実上は災害時にだけ限定しているというのは、これは法律の趣旨を極めて限定して実施をしているという点で、不十分なものだというふうに私は考えているわけであります。 したがいまして、ここにあります拡充を図るべきだということについては、保険税につきましてはそういうことでありますし、もう1つ法律がこれをやっていいというふうに認めている問題では、窓口での加入者の医療費の3割つまり一部負担の減免もちゃんとあるわけであります。 ところが、これがどういうわけか、なかなかやられない。法律にあるのにこれを実施しようとしないというのは、私は皆さんの怠慢ではないかということを過去にも申し上げてまいりました。これの実施に当たっては検討していきたいということなんですが、いまだにこれが行われていない。その説明は、県がうんと言わないと、岩手県がそういうことをしてはダメだと、ダメだとは言いませんが、それは余り結構だというふうな対応をしていない。それから県内13市の中でこれをやっていないから宮古市もやらないと、こういう状況であります。 私は、岩手県の行政水準をもって判断したのでは間違うと思うのです。国民健康保険税の税負担は、岩手県は日本国内で見れば全国でベストテンに入る非常に高い方にあるんですよ、これは。県民所得は、確か47都道府県の中で下から2番目か3番目、沖縄に次いで非常に貧乏な県が岩手県であります。しかし、負担は全国で上から数えた方が早いと。まさに政治の後進県であります。そういう中で、こういう法律でもやってもいいというものは、やはりなかなか具体化されないというのは、私は何とも理解できない事態でありますので、この点先ほどの部長のお答えでは、あくまでもほかの加入者の理解をいただいてということですが、これは理解の必要のない部分であります。先ほどのお話ですと、非常に保険税の滞納がふえたというのは、これは国が医療費の45%を補助していた、これを保険給付費の50%に切り下げた。ここから始まっているんですよ。何も好きこのんで滞納をしているわけではない。そういう状態から現在の3億円近い滞納が生じているわけでありますから、それをさらに先ほど言ったような基準で、保険税を払えないのが悪いということで、国の事業でありながら財政的な責任をほっておいて、そういうことをやるという、これに対する審判、批判が先の参議院選挙だったのではないかと私思うんです。 一方では防衛庁、厚生省、大蔵省等々の高級官僚が国民の税金を食い物にする、こういう事件が次から次へと生まれておりますよ。こういうのを本当に主権者であります納税者の視点で政治をきちっとやっていくというのが、私はあくまでも有権者であります市民の願いであろうと思うわけでありますので、宮古市の先ほどのこの間の経過のお答えをいただいたわけでありますが、まだまだ改善が必要だと。なかんずく法律にありますこの一部負担の減免と、任意減免の基準がそういう実態になっているということについては、私は改善が必要ではないかということを、今までも申し上げてまいりましたが、もう一度この点についての検討してきているのであれば、その検討の中身が実施する上で、何が障害になっているのか、私は明らかにしていただかないと納得できないわけであります。 そういうことでありますので、もう一度先ほどの2つの点について、1つは基金の増大につながりますよと、その見通しについて。もう1つは、本法がやってもいいということで裏づけのちゃんとあります先ほど言ったような、任意減免と一部負担の減免策、これが法律が予定しておりますような中身でやられないという、その本当の原因が何なのかということを、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 大森市民生活課長。 ◎市民生活課長(大森翼君) ただいまの2つのご質問の中で、まず基金の増大の点について申し上げたいと思います。 なお、これをご説明する前段といたしまして、実は 5,000万円の差というのが、まず税率改正の前に、議会の議員の皆様方には説明資料として差し上げたものがございます。その数字によりますと、2億 4,200万円ほどの減税額になるというふうにお示しをいたしてございます。 それから、ただいまご指摘の1億 9,300万円ほどの減税額になるんだという数値は、田中議員に示したものから出てまいりましたんですが、これの計算の違いをまず申し上げたいと思います。 当初、税率改正前に皆さんにお渡しした資料における現行と改正案の数値の出し方でありますが、そこで示しました現行調定額で17億 4,800万円が現行税率でやった場合には、国保税の調定額になります。 それから、もう1つ改正案でやったものについては、15億 500万円ほどの調定額になります。この17億円と15億円の差、2億 4,200万円が減税になりますというふうな説明でお示しをしてございます。それから、減税額が1億 9,300万円になるという根拠となる計算の表につきましては、これが計算の方法は、9年の所得に改正前の税率を掛けたものと、9年度の所得に改正後の税率を掛けた、要するに改正前後の増減を比較するために、計算のもととなる所得を9年度所得でとらえて、そして改正前と改正後の税率を掛けて比較したものでございます。 それで、先ほどちょっと触れませんでしたが、改正前の資料として皆さんにご提示した現行の17億円という数字が出てきた根拠は、8年の所得に平成9年のつまり改正前の税率を掛けたもので計算してございます。それから改正案につきましては、平成9年の所得に改正後の税率を掛けたものでございます。それで、この2つの数値を導き出すもともとの基礎となる数字が違います。それというのは、答えを出すための目的が違いましたんで、2つの答えが出てきていた経過がございます。             〔「結論、結論」と呼ぶ者あり〕 ◎市民生活課長(大森翼君) ちょっと長くなりまして申しわけございません。 先ほど、壇上での答弁には、減税額は1億 9,400万円となりますということを申し上げましたんですけれども、いま申し上げましたように、算定の根拠が違っておりましたんで、1億 9,300万円という数字でもって先ほど壇上で説明してございますが、それでは算定の目的が違ったんで、必ずしも 5,000万円という差額が出るものではないというのを申し上げたかったわけでございます。 それで、まだ年度途中でございますので、もう少し税収の動向等を見極めていただいて、それから私どもといたしましても、基金をどういうふうにするのかということを検討しなければならないというふうに感じてございます。先ほど来この基金については、議員もご指摘がありましたですが、11年、12年、13年、14年度で1億 5,000万円ほどの取り崩しを図るということでやってまいったわけですけれども、最終的に 5,000万円が幾らになる数字かはちょっとこれからの推移によりますけれども、その数字を見ながら基金の取り崩し等について、考えてまいりたいということでございますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。 それから、もう1点の任意減免と一部負担金の問題でございますが、これは従来からずっとご指摘をちょうだいしている事項であるようでございますが、税の減免につきましては、今までどおりの解釈でまいりたいというふうに思ってございます。この法での任意減免と言いますのは、天災、その他、特別の事情がある場合に納税義務者の担税力のいかんに着目して減免するものでありますので、単に総所得金額等が一定額であるような場合に減免するというふうな枠を定めて、減免の範囲を指定するというようなことはできないということを言われておりますので、従来どおりにしていかざるを得ないというふうに考えてございます。 それから、一部負担金の減免でございますが、従来からのものの考え方も、一部負担金の減免というのが県内でも、先ほどのご指摘のように県外でも例がございませんし、それともう1つ税の減免の場合ですと、ある程度どれくらいの減免額になるであろうなという数値が読めるんじゃないかと思うんですが、一部負担金の減免になりますというと、その年度によりましてどういう医療給付の状況になるかちょっと読めない部分もあったりします。それで、一部負担金の減免を認めるようにして、国保財政にかなり影響を与えるという可能性もないわけではないと考えられますので、これにつきましても従来どおりできない、従来どおりは研究してまいりますというふうになってございますので、ここで「できない」と私が言い切る勇気はございませんので、今後検討してまいりたいというふうに考えますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 資料を私たちいただいてますので、課長さんのお答えはつまり10年度の実際に7月1日に課税をして、加入者の方々に切符がいっているわけですよね。その時点で10年度の調定額を抑えているわけでしょう。私どもに対する10年度の国保税の見積もりは14億 8,700万円ですよ、資料として提出していただいていますのは。これは先ほどお話したような2億 4,000万円になんなんとする先ほどの税の引き下げをした結果、10年度の国保税として予定をしている税収は14億 8,700万円とこういうことなんですよ。それは2億4,000 万円の前年度の国保税から比較して、14億 8,700万円ということを想定しているわけでありますから、それは実際は例えば15億円になったとか、あるいはもっと下回って13億円になったとか、当然加入者の抜けたり入ったりもあるわけでありますから、それは実際に課税をしてみて、数字が違ってくるというのは当り前なんですよね。しかし、その当り前なことを前提にしながらも、ここの部分の数字が7月の課税時点でどうなったのかということを言ってもらえればわかりやすいことなんですよ。そういうことでしょう。14億 8,700万円の予定した税収が、例えば私の理解は15億 3,000万円になったんではないかという前提で言っているわけですよ。わかりますね。 その辺が資料はそうでございましたが、あくまでも前年度の加入条件で、今回の改定税率で掛ければこうなりますということであって、実際は幾らでしたというのを答えてもらえればいいんです。そういう意味で、結論を答えていただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 大森市民生活課長。 ◎市民生活課長(大森翼君) 今年度の調定額は約15億 6,300万円でございます。             〔「もう1回」と呼ぶ者あり〕 ◎市民生活課長(大森翼君) 約15億 6,300万円であります。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) そうでしょう。私は計算しなくてもそういうことになると思うんですよね。いいですか、12億 8,700万円で今年度はいきましょうと。国保税の税収ですよ。その条件で、基金の繰り入れは必要ありませんと。これは皆さんが私たちに示した資料なんですよ。それが、実際は15億 6,000万円、これはこうなるんですよ。なぜかと言いますと、所得の伸びが入ってくるからなんです。自然増を見ていないから、こういうことになるんですよ。ですから、私の予想した 5,000万円をはるかにさらにまた上回りますね。15億 6,000万円というのはいいですか、 8,000万円多いですよ。あなた方の財政計画から見たらですね、 8,000万円も多い。保険税を値下げして、なおかつ 8,000万円予定した税収より多く税収が見込めると、こういう状態ですよ。 そうしますと、どういうことになるかと言いますと、保険給付費はどうかと言いますと、これは先ほど私壇上から言わなかったんですけれども、いま入院給食費それから薬代も保険から外れて患者の負担がふえております。その結果どうなっているかと言いますと、病院に行くのを差し控えると。いわゆる受診抑制ですよ。 これはどういうことになるかと言いますと、医療費の伸びが鈍るということになるんですね。これが進みますと、市長さんはお医者さんですけれども、つぶれてくる病院も出てきていると、こういうことが全国的に言われている状況なんです。 ですから、日本医師会は今度の参議院選挙で、自民党の強力な支援団体だったんですけれども、比例名簿の搭載候補の方がおっこっているんですよ。それほど国民の負担、それから開業医の方々も非常に反発している内容なんです。 これが宮古市の場合どうかと言いますと、保険給付費は平成5年度には29億 3,400万円保険給付をしているんですけれども、9年度は29億 3,100万円、平成5年度実績を昨年の保険給付費は下回っているんですよ。つまり、宮古市の国保事業の支出は、5年前の水準よりも下がっているということなんです。10年度はもっと下がるはずです。市民がとにかく病院に行っていませんから。そういう中で、その14億 8,000万円の国保税の税収が 8,000万円も多いというのが明らかになったわけでありますから、このまま決算したら私は基金を取り崩すどころか、単純に 8,000万円残ったとすれば6億 4,000万円の基金を持つことになりますよ。保険税を引き下げたのに基金がふえてしまったと。これは保険税の中身、つまり税の見直し自体が非常に実態にそぐわなかったということに私はなるんではないかと思うんですね。 そこでお伺いしたい点は、もし、基金がいま持っております5億 6,000万円よりも10年度の決算で私はふえると思いますけれども、ふえたらどうするのかという問題が早晩出てまいります。私は5億 6,000万円の基金も持ち過ぎですよと言ってまいりました。医療費の保険給付費の負担ベースからいけば、1億 5,000万円の基金があれば十分だということなんです。 したがいまして、これは来年度また再引き下げということが必要になってくると思うのですが、市長はこういうふうな財政の見通しを、決まったばかりで十分に把握していないという部分もあるかと思いますが、もし仮にそういうふうになったらどうするのかという点についてのお考えを、この機会にお聞かせをいだきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。 ◎市長(熊坂義裕君) 自席からお答え申し上げます。 田中議員のおっしゃることも、もっともな部分も多々あるというふうに私は思います。 この6月の議会で、国保税の改正につきましてご議決いただいたわけですけれども、そもそもこの一番の目的と言いますのは、平準化すなわち中間所得者層に異常に負担がかかっていたというふうなことでございます。かつて13市の中で、国保税が宮古市の場合は上から2番あるいは3番目ぐらいに高かったという事実がございます。それがこの6月の議決によりまして、7月に市民の方々に納付書を差し上げたわけですけれども、それによりまして大体13市中、下から恐らく3番ないし4番目のところまで下げることができたのではないかなというふうに思っております。 また、少し予想よりも低かったのではないかというふうなことがございますけれども、これは実際のところ未申告者の問題、それから4月から6月にかけての転入転出の問題等いろいろあると思いますので、これからこの減税額につきましては、もう少し上がっていくというふうに思っております。先ほど、市民生活課長が申し上げましたけれども、そういったことではないかなというふうに思っております。で、現在そういうことでいきますと、調定額がかなり予想よりも上がったということで、そうしますと国保の保有税額が少し上がるのではないかということで、 8,000万円ぐらいと今ご指摘をいただきましたけれども、私どもの計画は5年計画でやっておりまして、5年間の中で恐らく最終的にはかなりの部分を取り崩していかなくてはいけないというふうな計画でございます。 また、これは実施されてから本当に何カ月もたっておりませんし、これからの医療費、議員ご指摘のように医療受診抑制がかかっているということですけれども、またこれも本当に事実で、いま病院等の経営もかなり大変になってきているのも事実でございます。しかし、この状況が確かにこれになった一番の原因というのは9月の国保税の改定であったわけですけれども、いつまでも受診抑制が続くかというと、またこれも経過を見ないとわからない点もございますので、確かにその保有税額が上がってきた場合にどうするかという問題がございますけれども、私とすればもう少し長い目で2年、3年たってくるとかなりはっきりとした傾向が出てくるのではないかというふうに思っております。 また、平成12年から介護保険制度がスタートいたしますので、それとの絡みもあって非常に予測できない面がございますので、ことし、あるいは来年はもう少し様子を見て、二、三年後にその介護保険のスタートとも合わせながら、やはり保有税額がふえるようであれば、あるいはそれを取り崩すということになってますから、実際取り崩してないんであればこれまたいろんな問題だと思いますので、考えていきたいなというふうに思っております。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) 市長のただいまの答弁は、大変遺憾だということを最初に申し上げなくてはならないと思うんですが、つまり市長あなたが提案いたしましたその資料によりますと、保険給付費は平成10年度から5年後の平成14年度、10年度が29億円の予算に対して、5年後の14年度は28億円なんですよ。ふえてないんです。減っているんです。5年間にわたって保険給付費つまり医療費が減っていくだろうと。これは無理くり減らされるようなことを厚生省が一生懸命やっているからこうなるんですよ。現にそうなっていますから。 そういう中で、10年度に予定いたしました税収が14億 8,000万円が15億 6,000万円と。 8,000万円多い状況ということは、これは5年後には当初ベースでいっても数百万しかふえないと、こういう見込なんですよ、当初の資料が。 ところが、それがもう最初から 8,000万円も違ったら大体そのベースで行くということなんですよ。5カ年間、税収の部分でですよ。よっぽど急激に国保加入者が減少すればまた別ですけれども。そういう点で私はこれは市長に質問いたしましたことは、もし国保基金が今年度は何とか持ちこたえるということであって、私たちも了承しているわけでありますけれども、これはふえたらどうするんだということを言っているんですよ。 ここで下手にふえたらまた来年度、再来年もふえていきますよということを私は予測して言っているわけですよ。それは何をもとに言っているかというと、あなた方がつくった資料からそういうことになるから言っているんですよ。 そういうことですので、これはそういうことを指摘をしてをしていきたいと思います。 時間がありませんので次に進みますが、申請減免の関係ですね。これは実は新里村で今回の負担の平準化を行う際に、私どもが問題にしてきたようなことをやりましょうというふうになったんです。宮古広域圏の新里村で。ですからね、課長、課長の先ほどの答弁ですと、個人的には研究しなければいけない立場だけれども、結論とすれば、今までのやり方を踏襲したいと、こういう答えだったんですよね。それでは全くだめなんでね。 例えば、新里村の場合ですと、一部負担金のやつもきちっと条例で受けて条例の施行規則でやっているんですよ。これつくったばっかりですから。6月ですから。そういう意味で新里にできて宮古市でやれないということないでしょう、これは。 それによりますとこうありますよ。1つは、これは受けられる場合の規定ですね。震災、風水害、火災、その他これに類する災害により死亡、不具者となり又は資産に重大な損害を受けたとき。これは宮古市もやっている部分です。干ばつ、冷害これも災害等ですね。問題は次なんですね。事業又は業務の休廃止、失業等により収入が著しく減少したときと。そしてさらに、前各号に掲げる事由に類する事由があったときと。つまり急激な所得の減少は、災害でもない、失業でもない、しかし実態としてこういうふうな所得の著しい落ち込みがあった場合には、一部負担の減免をやりましょうと、こうなっているんですよ。これは国民健康保険法がやりなさいということで、決めているやつなんですよ。当り前のことなんですよ、これは。 そういう点で私は、宮古市は怠慢だということを言っているのはその部分なんですよね。それから、一部負担の国民保険税の減免もそうでありますけれども、同様であります。宮古市の規定もございますけれども、これはあくまでも災害ですよ。 しかし第4には、そうなんだけれども真にやむを得ない事由ということで、括弧で疾病も入っています。病気で収入が著しく減った場合には、市長は市長の判断でその税を減免すると。所得割額を減免するとこうなんです。今やっているのは応益の部分ですからね。低所得者に対する減免は所得ではないんですよ。均等割の部分ですね。 そういう点で、これはこういうふうになっていますけれども、しかし、担当者の方が先ほどのようなお答えですと、これはなかなか規則ではあっても、実際上は行われないというふうになっているのではないかなと思うんですが、過去におきまして災害以外に保険税の減免申請があって、それをやったという実績ありますか。 お答えをいただきたいと思います。 ○議長(蛇口原司君) 大森市民生活課長。 ◎市民生活課長(大森翼君) 現時点で私が押さえている範囲内では、災害以外ではないということのようです。ただ、これは多分あとで昔を知っている人あたりから聞いたりしたりで……そういう方がないということでありますので、なかったということで……。 ○議長(蛇口原司君) 田中尚君。 ◆23番(田中尚君) これは収入は皆無となりでしょう、収入は皆無というのはないんですよね。 例えば、保険に入っていたりすると保険給付が出たりするわけですからね。だからそういう点で、規定がそもそもお粗末だということなんですよ、私が言いたいのは。やる気がない規定だと。つまり該当のしようがないような規定をやっぱりつくっているという点で、ぜひ改善をすべきだというふうに思いますので、これはそういうことを指摘をしておきたいと。 市長は殊に福祉の問題については、だんだん当選直後の決意を何だか後退させてきているのではないかなと思うような答弁もちょっと見受けられるわけでありますけれども、昨日の松本議員の質問の答弁なんか特にそうでございまして、私は松本議員言うように優先というものは、あれもこれもやるからというふうなことでは成り立たないことだと思うんですよ。多少ほかのものを抑えても、凍結しても、突出させてやるから優先なんですよね。そういう点では、総花的にやりますということは、今の宮古市の財政事情からすれば、ほとんど不可能に近いお話、決意になりますので、ぜひ改めていただきたいと思うわけであります。 最後になりますが、補助金、負担金等につきましては、これは特に市民の方からいろいろ相談というか問い合わせもあったのも、それが原因なのかなというふうにも考えたんですが、社会福祉協議会の会費が倍になると。なるほど増額のいわば説明は、社会福祉事業が行う各種サービス事業の充実のために、会員の皆さんの負担を改めてお願いするんですと、こういうことできているわけでありますけれども、私はいろんな補助金を受ける団体があると思うんですが、大きく分ければ社会教育団体、それから経済団体、大体そういう感じになりますか、教育団体と産業団体ということになるんですか。 私は、市長の決意からすれば、やはりある程度のその事業の中身ももちろん精査しなくてはなりませんが、聖域を設けてそして本来の事業目的が達せられるように、この点では一律に行うという点では、非常に問題があったのではないかというふうに思っております。 先ほどの鈴木総務部長のお答えは、個別にこれを審査するとなかなか面倒だと。つまり、はっきりいって、なんでおれのところやめるんだということで、場合によったら議員さんを通じて文句がくるかもしれないし、そういう点でどっからでも文句が来ないように、あるいは来ても言いわけがたつようにということで、一律1割というのは、これは私はなんか芸があるようで芸がないなというふうに思うんです。この点では、行政改革の目標の中に、補助金、負担金の適正化ということがありまして、なお調査、研究が必要であります。スクラップ・アンド・ビルドが必要になります。 私は、今回はそういう意味では、非常に今後に多くの問題を残しているということですし、今後は改善をしなくてはならないということだけを指摘して終わりたいと思います。 以上。 ○議長(蛇口原司君) 暫時休憩いたします。             午後2時35分 休憩             午後2時45分 再開 ○議長(蛇口原司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 18番、城内愛彦君に質問を許します。 城内愛彦君。             〔18番 城内愛彦君登壇〕(拍手) ◆18番(城内愛彦君) 私は、平成10年9月定例議会に当たり質問通告に従い、(仮称)三陸沿岸空港誘致について質問をいたします。 バブル経済がはじけ、金融、証券、保険会社がつぶれるという大変な時代を迎えております。 この不景気は、先の見えないトンネルの中にいるのと同じであります。これまで日本経済が体験をしたことのない時代だと言えます。ほんの数年前までは右肩上がりの経済良好の時代にあり、過剰ともいえる投資と開発が日本中いたるところで行われてまいりました。東北においては山形新幹線が開通し、昨年には秋田新幹線も開通し、東北新幹線盛岡以北については既に着工に取りかかっております。 空港においては、国の1県2空港の政策のもと、この10年に3つもの空港が東北にできたのであります。福島県福島空港、山形県庄内空港、秋田県秋田大館能代空港であります。 いま日本中が大変な時代にあって、地方への投資は今まで以上に厳しいことは重々理解しているつもりではありますが、しかし、東北の中でもこの三陸沿岸地域には、北上山系に阻まれ高速交通体系の遅れは大変なものであります。私がいま所属しています青年会議所で、毎年1月に京都での会議に参加するに当たり大変な思いをしているのであります。日本じゅうに友達がいる中で、沖縄の友達よりも北海道の友達よりも中央に一番遠いことがわかったときは、大変なショックでありました。 陸中海岸国立公園という観光の宝庫を有し、あるいは三陸という豊かな漁場を有しながら、その宝を活用しきっていないのではないでしょうか。観光の面を一つとっても、時間距離は大きなウエートを占めるわけであります。東京から観光で宮古へ来るのに、盛岡まで最短で3時間、盛岡から宮古まで2時間という時間ハンデをなくすためにも、ぜひ空港を誘致したいと思うのであります。 昨年11月に、宮古商工会議所を中心として三陸沿岸の商工会議所、商工会、青年会議所の皆さんが一体となって、三陸沿岸空港誘致研究会を発足されました。そして、数多くの民間の方々を招いての誘致へ向けた勉強会を開催しているのであります。その中で、多くの業種の方々が、口々にこの地域に空港ができたらどんなによいことか、効果は絶大なものがあるとの意見が多く出されました。この誘致運動は一、二年で終える運動ではありません。向こう10年の宮古を考えた運動であります。地方にとって今は大変な時代ではありますが、今から始めておかなければならない運動だと考えるのであります。 国においては、均衡ある国土の発展、県においては内陸と沿岸の格差の是正という観点からも、国・県に対し強くアピールをしていかなければならない問題だと考えます。幸いにも、8月4日に小渕総理の所信演説の中で、「均衡ある国土の発展を」と明言をされたことに大変勇気づけられました。 宮古においては、熊坂市長の公約の6番目に空港を取り上げられております。市長としても、この地域に空港が必要だと考えられて公約に挙げられたのだと考えます。 宮古で私が知る限り、市民から起きた運動はこれが初めてであります。このことは大切に考えなければならないことだと思います。市としての空港誘致に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。 以上、壇上よりの質問は終わりますが、再質問については自席より行わせていただきます。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。             〔市長 熊坂義裕君登壇〕 ◎市長(熊坂義裕君) ただいまの城内愛彦議員の三陸沿岸空港誘致についてのご質問にお答えいたします。 私どもの沿岸地域は高速交通体系から取り残され、今や首都圏から最も時間距離の遠い地域となっております。このことが優れた自然環境を有する当地域の観光、リゾート面に与える影響はもとより、水産業を初めとする産業、経済の停滞に波及し、多くの課題を抱えております。 このことから、私は三陸縦貫自動車道や地域高規格道路の宮古盛岡横断道路、三陸北縦貫道路の早期整備とともに、県内唯一のコンテナヤードを有します宮古港の港湾整備に力を注いでまいりました。三陸縦貫自動車道宮古道路につきましては、関係各位の多大なご協力を得ました結果、おかげさまを持ちまして建設省が来年度予算概算要求に東北地建管内では唯一、新規着工準備箇所として津軽石千徳間 4.5㎞を位置づけていただくことができました。 新規着工準備箇所とは事業着手に向け、都市計画決定手続き、環境評価手続き、事業手法の確定等を進める箇所ということで、整備計画区間の指定に直結するものでございます。また、宮古盛岡横断道路宮古道路につきましても、岩手県知事より本格的な調査に入ると明言をいただいております。このように幹線道路の整備がいよいよ促進されることにより、内航コンテナ線の定期航路を持つ宮古港の利用は、ますますはずみがつくものと期待をしているところでございます。 もう一方の高速交通網の柱であります空港につきましても、地方の時代1県2空港の必要性が叫ばれて久しいところでございますが、議員お話しのとおり、沿岸に第2空港を立地する運動が盛り上がり、昨年12月に商工団体を中心に、三陸沿岸空港立地研究会が発足をいたしました。 沿岸空港の開港は、産業、経済、観光、文化等の沿岸の地域活性化に与えるインパクトははかりしれないものがございます。現在、運輸省の方針は、第7次空港整備5カ年計画に盛られた地方空港部につきましては、期間を2年延長し、単年度の予算配分を削りこむ一方、大都市圏の拠点空港の整備が重点配分される方向にあり、地方空港にとりましてはまことに厳しい環境にあります。 このような中にあって、三陸沿岸空港立地研究会により9月3日には、三陸沿岸空港立地可能性調査の業務委託契約が行われ、5日からは空港立地運動にかかる署名と拠出金の募集を始めておりまして、非常に意を強くいたしております。 街頭署名や募金活動は、空港誘致運動の内容が広く市民にまだ浸透していない中で始められたところではございますが、5日の午前10時半から午後2時半までの間、市の中心市街地10カ所で行い約 1,000名の署名をいただいております。 お聞きしますと、年配の方々が快くご協力いただいたのに対し、若い人には意外に関心が薄い結果だったようでございます。空港誘致におきましては、地域住民の熱意、熟度がその判断を大きく左右すると言われております。 行政側といたしましては、国の政策の動向、とりわけ第8次空港整備計画策定を意識しながら、情報収集に努めるとともに、今後の諸調査等に協力してまいりながら、将来的には官民一体となった組織化を図るべきものと考えております。 現在、三陸地域は日本に残る3つの空港空白地帯の一つと言われております。均衡ある国土の発展のためにも、高速交通体系の空白を埋めるため国や県、関係機関に引き続き働きかけを強め、沿岸地域一体となり粘り強く取り組んでまいりたいと思っておりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願いいたしまして答弁といたします。 ○議長(蛇口原司君) 城内愛彦君。 ◆18番(城内愛彦君) 先ほど市長の答弁されたとおり、8月5日に署名運動が行われました。 市内10カ所で、私もその署名運動に参加したわけでございますが、大変ご婦人の方とかが快く協力をしてくださったのが印象的でございます。この地域に空港が可能性としてゼロでない限り、一生懸命頑張っていかなければならないものではないかなと考えておる次第でございます。 21世紀の子供たちに、どういう形でこの宮古を残してあげられるか、そういったことも考えながら今後、市の当局としても積極的なかかわり合いをもって、官民一体となって両輪のごとく展開をしていっていただければなと思っております。 この宮古地域がおかれる状況というのは、先ほど来市長もおっしゃられたとおり、高速交通体系の中にあって取り残された状況にあります。道路に関しましては、ここ数日の間にいろんな形で展開がされてまいりましたが、時間がかかる問題として置き去りにすることのないように、ぜひ積極的にお願いをしたいと思います。 以上で私の質問を終わります。 ○議長(蛇口原司君) 次に、4番、中嶋榮君に質問を許します。 中嶋榮君。             〔4番 中嶋 榮君登壇〕(拍手) ◆4番(中嶋榮君) 初めに、このたび豪雨の被害を受けた被災者に対し一言お見舞いの言葉を申し述べさせていただきます。 北関東から東北地方に停滞した前線を台風4号が刺激し、その影響で先月27日から広範な地域にわたり被害をもたらしました。宮古地方におきましても土砂崩れ、河川の増水による道路、田畑の冠水が至るところで起こりました。被災者の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。 また、行政におかれましては、日夜、不眠不休の応対、地域消防団とともにパトロール、被災地における適切な処置をしたこともあり、被害を最小限にとどめたことは誇るべきことと思います。今後、台風、豪雨等による増水があっても、河川のはんらんが起こらないよう一日も早い対応を望みます。 それでは、質問に入らせていただきます。 私は、平成10年9月定例議会におきまして一般質問通告に従い、順次質問をいたします。 最初に、広がるいじめ、増加する暴力の実態について、お伺いいたします。 昨年、総務庁が18都道府県の小学校高学年58校、中学校 107校の児童・生徒1万 7,000人、保護者1万 6,000人、教師 800人を対象に実施した調査結果によると、いじめを受けた経験のある子供は3人に1人に達しておりました。いじめられていると答えた児童・生徒は4.1 %あったと言われております。 いじめの件数は、文部省が調査を始めた1985年の15万 5,000件から1993年の2万 2,000件まで減少していたが、愛知県の生徒の自殺事件が起こって以来、再び上昇し、95年には6万件に達しておりました。また、校内暴力の件数は、82年以降減少していたが、86年から再び増加し続け、95年には調査を開始して以来、最高の件数に達していると報告されています。 今回の調査でも、昨年1年間で小学校高学年の4割、中学校生徒の2割が他の児童・生徒から暴力を受ける被害を体験している。いじめにせよ、暴力にせよ、最も重要な問題はそのほとんどが被害者である児童・生徒の泣き寝入りに終わっていることであります。この調査でも、いじめの被害者に関して親に相談した子供は39%、教師に相談した子供は29%、だれにも相談しなかった子供は38%に達しています。 文部省をはじめとして、教育行政機関はいじめと暴力の広がりに対して、いくつかの対策を施してきました。 その1つは、いじめられる子供に対する転校措置や、いじめ問題を解決するためのスクールカウンセラーの配置であります。しかし、これらの対策も対症療法の域を出るものではありません。そもそも転校措置がいじめた子供ではなく、いじめられた子供に対してとられる措置は、全く逆の措置であると思います。当教育行政の考えをお聞かせください。 また、スクールカウンセラーの働きにしても、その大半がいじめられた子供の心の傷のケアであり、いじめる子供の病理に対しては、手つかずというのが実情ではないでしょうか。いじめは、学級集団を基盤に起こり、この病理の解決に当たるのが担任教師であり、スクールカウンセラーであるわけですが、これらの方だけに責任を求めるのは、余りにも荷が重すぎると思います。いじめに対しては、親や教師がむとんちゃくなのも問題ですが、もう一方で過剰に反応するのも問題と思います。真剣に取り組むべき問題は、むしろいじめる子供、暴力をふるう子供の心の叫びではないでしょうか。 少し視点を社会に向けて見ると、当時小学校6年だった神戸市須磨区の児童が殺されてから1年以上が経過しました。その児童の親は悲嘆にくれる胸の内を明らかにしました。「深い悲しみは一生消えることはありません」と心情を吐露し、「私たちのように悲嘆にくれる者が出なくなるよう、この国が変わっていくよう願いたい」と結んだ、あの忌まわしい事件以降も、少年による凶悪事件は後を絶たない。 ことしの1月には、栃木県黒磯市の中学1年の男子生徒が女子教諭をバタフライナイフで刺殺、2月には東京江東区で中学3年生が拳銃を奪おうとしてナイフで警察官を襲った事件、3月には埼玉県東松山市で中学1年生が同級生を刺殺するという事件が相次いでいます。 事態は年々悪化の方向へ動いているように思えます。すぐにキレる少年たちの心はどうなっているのかわかりません。しかし、大人たちが突然としか見ない子供の行動も、必ず事前にサインが出ているはず。サインを見逃しているに違いない。悩める子供たちが出したサインを敏感にキャッチし、子供たちの悩みを自分の悩みとして、真剣に取り組んでいくことにより、いじめ、暴力及び凶悪な死傷事件を未然に防止していきたいものです。 つきましては、当市の教育行政のいじめ、暴力の実態を示していただきたい。また、いじめの歯どめ策はあるのか、ご答弁をいただきたい。 次に、不登校の実態等についてお伺いをいたします。 8月6日に発表された文部省の1997年度学校基本調査で、不登校の小・中学生が97年度に初めて10万人を突破したことが明らかになりました。小学生で 378人に1人、中学生で53人に1人の割合になります。 文部省は、学校嫌いの子供を減らそうと、スクールカウンセラーの導入など対策に努めていますが、決め手となるような歯どめ策は見つかっていない。増加の一途をたどる子供の学校離れに、専門家からは学校自体がストレスの場、不登校はふえて当然と言った声も聞こえてきます。文部省は、92年それまで不登校は特定の個人や家族の問題としていた見方を、どの子にも起こり得ると転換。対策として、心の問題を相談できるスクールカウンセラーの導入や、学校への復帰を目指すための適応指導教室の設置を打ち出してきた。 また、授業に出ずに保健室や民間フリースクールへ通う児童・生徒を校長の判断で出席扱いにできるようにするなど柔軟な対応も指示されてきています。それでも続く増加を、文部省は不登校が広まった結果、後ろめたさが薄れたのではないかと分析する人もあるが、学校に復帰させることが必要という考えは基本的に変えていない。 しかし、学校に戻った不登校の生徒は96年で約25%にすぎません。したがって、現行の施策が増加の歯止めになっていないのが実態であります。 夏休みも終わり、2学期も始まったが重い腰を上げようとするがなかなか上がらない。子供たちは学校へは行かなくてはいけないと思っているんだけど、行かれない。行きたくない何かがある。いじめとか体罰とか校則とか、学校は大好きなんだけれど疲れてしまう。不登校の背景をぜひ理解していきたいものです。 現実に、不登校になっている子供の数が10万 5,000以上というだけであって、いつ不登校になってもおかしくない、行動を起こしたいと思っている子はたくさんいるわけで、10万 5,000を超える生徒が不登校と言っても、欠席日数を30日で切った数です。実際は、30日以上欠席していても保健室登校とか、終業時近くに来るとか、教育相談所に行っているとかで、欠席日数に数えていないものがたくさんあるのではないでしょうか。 このことも踏まえて、当市の児童・生徒の不登校の実態はどうなのか。また、不登校の原因は一体何か。ご答弁をお願いしたい。 また、教育を競争という視点で見ている限りでは、幾ら時間数や内容を減らしてもゆとりは決して生まれません。教育には、子供が主人公、自分の道を開き伸びていくのは子供、子供自身なんだということを忘れないで、子供との信頼関係を保ち、一緒に考えていくことが大事だと思います。 いま地方分権が言われている中で、教育についてはすべて国が考えるとなっていますが、その地域、地域にふさわしい教育活動のあり方があると思います。地方自治体はいろんな生涯教育をやっていますが、子供も含めた教育をもっと柔軟に考えてもいいのではないでしょうか。 不登校、いじめ、非行、自殺、追い詰められた子供たちのうめきに、私は胸を痛めている一人であります。教師の方々がどれほど悩み、苦闘されているかと思うと強く胸をうたれます。深刻な問題を抱えた子供も多いにちがいない。しかも、問題の根をたどれば、家庭や社会に行き当たらざるを得ない。一教師の力で一体何ができるのかという疑問を感じることもあろうと思います。しかし、深いやみに閉ざされた迷路のごとき状況であるからこそ、教師の使命はあまりにも大きい。いかなる時代も子供にとって教師こそ最大の教育環境であることに変わりはない。 目は不自由、耳も聞こえない、三重苦のヘレン・ケラーがサリバン先生という一人の教師と出会って、人生を一変させた話はよく知られています。特に、ポンプからほとばしる水を手に受けた瞬間、それが、WATER、水という名前を持っていることを知り、英知の窓が一気に開かれたことは大変に有名である。しかし、サリバン先生によれば、それは彼女の教育で大事な第二歩であったという。では第一歩はなんであったか。ヘレンと接するようになってから2週間余りが過ぎたころ、ヘレンがサリバン先生のキスを受け、ひざの上に乗ったりするようになったことである。それまではサリバン先生を拒否し、野獣のように暴れ回ることの連続であった。だが、寝食をともにする中で、ヘレンは先生と一緒にいることを受け入れるようになった。信頼が生まれたのだ。この信頼の基盤の上に、あの奇跡的な人間教育の大樹がはぐくまれていった。 教育の根本目的は何か。それは子供の幸福にあると断言された偉大な教育者がいた。今の教育の混迷の最大の要因は、この何のための教育かという原点が見失われているように思える。子供は教師が自分の幸福を願っていることを感じてこそ、信頼もし、心を開くのではないでしょうか。また、子供の幸福を真剣に考えてこそ、初めて子供の性格も才能も、問題点も見えてくるものではないでしょうか。 行政当局の所感をお聞かせください。 以上をもちまして壇上からの質問を終わります。なお、再質問は自席より行わせていただきます。(拍手) ○議長(蛇口原司君) 熊坂市長。             〔市長 熊坂義裕君登壇〕 ◎市長(熊坂義裕君) ただいまの中嶋榮議員のご質問にお答えいたします。 私からは、地方の特色を生かした教育も必要ではないかとのご質問にお答えいたします。 昭和23年に発足した現在の中央教育制度は、教育の機会均等や教育水準の維持、向上に寄与するという点では大きな成果を残してきました。しかし、全国どこへ行っても画一的な教育内容ではないかという反論にも、うなずかなければならない面もございました。 21世紀を目前にしたいま社会の変化や時代の進展を踏まえ、一人一人の子供の個性を尊重しつつ、生涯にわたりその能力を最大限発揮できるようにするという視点から、国の教育改革が進められておりますが、それらを支える教育制度についても、個性重視、生涯学習への参加、社会の変化への対応、自主主体性の重視などの理念を十分に踏まえながら、改革を図っていかなければならないものと存じます。 教育という営みは、子供たちが幼児期から思春期をへて自我を形成し、自らの個性を伸長、開花させながら、発達をとげていく過程を助けるものであると言われております。 そしてそれは、学校のみが担うものではなく、学校、家庭、地域、社会、行政が連携を図り、それぞれの教育機能を十分に発揮して初めて、子供たちのよりよい発達を助けることができるものであると考えております。 この7月29日に、教育課程審議会が文部大臣に対して答申した教育課程の基準の改善についてのねらいが4点書かれておりますが、その4点目に、各学校が創意工夫を生かし特色ある教育、特色ある学校づくりを進めることが明記されました。教育課程の基準の改善のねらいの柱として、このような考え方が示されたのは初めてであり、今後、学習指導要領の改訂により、総合的な学習時間の確保がなされ、各学校が地域や学校の実態等に応じて創意工夫を生かし、特色ある教育活動が展開されることを確信するものであります。 これまでも、親子ふれあいの船や、平和と命の大切さを考える後援会、わんぱく自然教室、多良間村との交流、黒石市との交流等、宮古市の特色を生かした事業に取り組んでまいりました。また市内の小・中学校におきましても、福祉施設への訪問学習や、郷土芸能の伝承活動、ボランティア活動、職場訪問による体験講座、地域の方を講師とする総合講座等、地域の特色を生かした活動を展開しております。 今後とも国の教育活動の動向に沿いながら、創意工夫をこらした施策、取り組みを主体的に推進するとともに、教育行政を重視し、財政面での配慮を図りながら、支援してまいる所存でございますので、ご理解をお願い申し上げたいと思います。 なお、いじめの問題、不登校の問題につきましては、教育長より答弁をさせます。 ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。             〔教育長 中屋定基君登壇〕 ◎教育長(中屋定基君) 広がるいじめ増加に対する暴力の実態及び不登校の実態についてお答えします。 宮古市の小・中学校におけるいじめ、暴力について把握している限り申し上げますと、いじめは平成8年度小学校2件、中学校3件、平成9年度は中学校のみ9件であり、その主な内容は言葉での脅かし、ひやかし、からかいであり、実態、内容とも県全体と同じ傾向を示しております。今年度は現時点で、いじめについては把握しておりません。 また、暴力はいずれも中学校で発生しており、その状況は平成8年度1件、平成9年度1件そして今年度は1件となっており、その内容はすべて生徒間暴力であります。これらの問題行動は突発的、衝動的に起きるものではなく、問題行動を起こす前に、心身の不調を訴えていたり、ささいなことに過剰な言動をとったりするなど、何らかの前兆を示しております。 そこで、各学校には問題行動の未然防止対策として、児童・生徒一人一人を共感的に理解すること、自己存在感を持たせること、さらには、感動や充実感を与えるよう教育活動を展開することを年度当初にお願いしております。また、校長会議では前月までの問題行動についての実態を報告するとともに、その時期、時期に応じた当面の指導上の課題を毎回確認しております。さらに、教育委員会が主催する生徒指導研修会、教育相談研修会等において、市内小・中学校教職員を対象に研修を重ねているところでございます。 なお、各学校においては、生徒指導のあり方、進路指導のあり方、思いやりの心の育成等を校内研究のテーマとして掲げ、児童・生徒一人一人を多面的に理解し、そのよさや可能性を引き出し、伸ばす支援のあり方を実践的に研究をしております。 今年度発生した1件につきましては、加害者への指導はもちろんのこと、被害者に対しては本人や家族が身体や心に受けた傷が一日でも早く消えてなくなることを願いつつ、心のケアを進めるよう指導しているところであります。 次に、不登校の実態についてお答えします。 宮古市の実態は、文部省の学校基本調査の調査項目である学校嫌いを理由に30日以上欠席した児童・生徒数は、平成8年度は小学生2名、中学生22名、平成9年度は小学生6名、中学生39名であり、小学校の出現率は全国を下回っておりますが、中学校は全国並みであります。 不登校の原因は、学校、家庭、地域社会などさまざまな要因が複雑に絡み合っており、その要因を特定することは困難ではありますが、主たるきっかけとして小学校では生活のリズムの崩れにより、身体の不調を訴えることが多く、中学校においては友人との関係がうまくいかなかったり、無気力で何となく登校しないことが多くなっております。基本的な考えとして、不登校はどの児童・生徒にも起こり得るものであるととらえ、心の居場所としての役割を学校が果たすことができるように、また不登校の予防的対応として児童・生徒一人一人の個性を尊重し、人間味のある温かい学校生活が展開されるように指導しております。 教育委員会では、各学校から毎月7日以上欠席している児童・生徒について報告をしてもらい、実態把握をすることにより、不登校児童・生徒の早期発見と早期指導を目指しております。また、教育相談機関の充実や不登校児童・生徒の適応指導のためのサーモン教室を設置しております。 10月からは文部省からの研究委託を受け、市内7校の中学校に心の教室相談員を配置し、学校内における教育相談体制の充実、さらには家庭や関係機関との連携を図りながら、今まで以上にいじめや非行など問題行動等の解決や未然防止に努めるとともに、児童・生徒のよさを見つけ、そのよさを伸ばし、生き生きとした学校生活を送ることができるように取り組んでまいる所存でございます。 以上答弁とします。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) 今回の暴力事件におかれましては、暴力を加えた方、加えられた方いろいろ適切な処置がとられてあるように思います。しかし、校長の判断又は先生方の判断に少し不満があったとそのようにお伺いしておりますので、そういうことのないように、適切に指導をしていただきたいと、そういうふうに思います。 私は、生徒の書かれたものを少しお読みしますので、実際これが 100%ではないかと思いますけれども……。 長い間いじめられている人は心の扉を閉ざしていく。友達はいない。親に心配をかけたくない。親に言うと卑怯者になる。先生は頼りにならない。どんどん孤独になっていく。だれかに思いっきり自分の気持ちをぶつけると心が少しでもすっきりする。しかし、先生に話すのはむだだ。先生は生徒みんなを平等に見なければならないから、いじめられている人の意見を信じようとしない。クラスのみんなが心配しているよ--これは先生の言っていることですね--それともお前は他人の心の中がわかるのか、魔法使いでもないんだからわかるはずがないんだぞ。そういうセリフでむしろ他人の味方ばかりする。話はそれなりに聞いてくれるが動こうとしない。知らないふりをしているようなものだ。どこの学校でも頼りにならない先生が多い。頼りになる先生は話してみるとわかる。他の先生とは違って悩み、相談室のように、いじめられたときの対策を考えてくれる。 これは実際いじめられた子供の手記でございます。 いずれにしろ、過去におきまして、下閉伊地区にもあったようですが、他県から下閉伊地区に暴力を起こした子供が来たと。受け入れしないでその子は帰って行ったというようなこともお伺いしたわけですが、そういうことのないよう、このたたかれた方の心のケアもしかるところ、たたいた方の暴力を加えた方の子供にもしかとその心のケアをご指導を、お願いするようにしていただきたい。 大阪市立大学の森田教授の研究調査から、このような結果が出されております。 森田教授はいじめの実態を国際比較するために、全国 250校の小学校5年から中学校3年生までの生徒や保護者、教師1万 8,403人を対象にして実施された結果からわかったことなんですが、今回の調査結果の特徴の一つは、親子関係が良好な子供ほど、いじめをやめるように注意したり、教師などの大人に助けを求めるなど、いじめをとめようとする子が多いということがわかった。 したがって、ふだんから、何でも話し合い、困ったことがあったら相談するという親子関係がつくられていれば、しかられようが、小言を言われようが子供はいざというときに親に相談をし、親を信頼するものだということがわかったと、このように大阪市立大学の森田教授は研究調査を発表しております。 子供を持つ親として、考えさせられるものがありました。当市の、この暴力を起こした子供の家庭の実態はやっぱりそのようなことが多いわけなんでしょうか。 ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。 ◎教育長(中屋定基君) ただいま答弁したように8年度、9年度、10年度1件でございます。 そういうわけで、そこまでは家庭の事情は私のところでこうだということは言えないと思います。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) よろしいです。 次に、不登校の問題に入りたいと思います。 原稿をまとめてきましたので、それを読みますので、あっちいったりこっちいったりしないように。 ことし7月22日から31日まで埼玉県飯能市の自由の森学園で第22回のフレネ教育者国際集会が開催されました。 ここに世界30カ国の教師 353人の代表が出席しての合宿研究交流会であったようです。 ご存じのとおり、フレネ教育は南フランスの田舎の小学校で暗記中心の伝統的教育に反旗を翻して、子供の学びを中軸とする教育学を提唱したセレスタン・フレネの思想を継承しようとする先生方の運動のことで、公立学校の改革を目指す、現場生まれの教育学に特徴があるようです。 子供の興味や疑問や表現を土台にしながら、子供自身の活動、リズムを追っていくというところに重きを置いているようです。このフレネ教育を実践している教室では、一斉授業はとらず一人一人の子供がそれぞれの課題に集中して取り組んでいるというふうにお伺いしております。 先生方は画一的に教科書を押しつけるのではなく、個々の活動に寄り添って、支援をしてそして調整するアドバイザーに徹しているのが、フレネ教育の特色であるようです。 今回、世界各地で、このような実践を重ねている教師の方々が日本に一堂に会したということは、現在の日本教育にとって、非常に大きな興味を持つものと私は思っております。なぜなら、徹底した管理教育の結果として、子供たちから思考力や想像力やそして行動力をスポイルしてしまった。だめにしてしまった。そういう点におきまして、日本の教育が新たな改革のモデルとすべき姿が示されていると思いますが、教育長いかがでしょうか。 ○議長(蛇口原司君) 中屋教育長。 ◎教育長(中屋定基君) 議員よくご理解しているように、先ほど教育課程審議会は教育課程改善の基準を示しました。その中で、示された中で特に先ほど市長も答弁したわけですけれども、特色ある学校、特色ある教育を進めることと、こういうのが教育課程基準の改善として示されたのは初めてでございます。 今までも実は、各学校でゆとりの時間ということで、そういう試行をしております。ですが、はっきりとこういうふうにうたったのは初めてでございます。今後、総合的な時間として3ないし4時間の時間設定が保障されると思います。各学校においては、こういうふうな時代、いわゆる情報化、国際化、いわゆる非常に変化の激しい社会です。その変化の激しい社会に、主体的に生きる力をつける。こういう力を育てるために、特色ある教育、特色ある学校をつくると、こういうことでございます。 具体的には、今までいろいろと試行しているわけですけれども、児童・生徒が興味、関心を示す課題であるとか、地域や学校の特色に応じた課題であるとか、あるいは現代の課題である国際理解とか情報とか環境、福祉、健康、こういう問題を学校独自に取り組むとこういうことでございます。 議員ご指摘のように、日本の教育もそういう方向に動いていると、私はとらえております。 ○議長(蛇口原司君) 中嶋榮君。 ◆4番(中嶋榮君) ありがとうございます。 最後に、教育制度の行き詰まりが指摘されている中で、抜本的改革の必要性が叫ばれているものの、期待を抱かせるような改革は遅々として進んでいないのが現状であったわけです。その中で、教育改革の方向性を考えていく上で最も重視しなければならない視点は何か。それは多様性の価値を高めていくことにあるというふうに思います。 子供たちが学校を拒否する理由はいろいろあるわけですが、端的に言って、これはおもしろくないというのが答えだと。それでは、なぜおもしろくないのか。それは生コンやドロドロした溶けた鉄を型に流し込んでいくように、型に自分をはめ込んでいこうとするからではないのかと、そういうふうに思います。 もちろん、社会に雄飛するためには、身につけなければならない常識や知識、良識を得る最低限の型は人間にとって必要と思います。さらに重要なことは、その身につけた基本的なその形をどのようにして応用し、自分だけのものとして発展させていくかというところに重要な部分があるのではないか。この部分が一番教育に決定的な欠落をしているのではないかと思います。 もう1つ、欠かせないこの視点は、時代への即応性であると思います。時代の変化と同時に、人々の心のありか、志向性も変化していく。こうした変化を微妙に感じとって、時代に即応した人材を育てていくのが本来の教育の使命であり、役割であると思うわけです。 いずれにせよ、国で決まった教育指導要領に基づいた教育は詰め込み過ぎであり、一人一人の個性を磨くゆとりある教育にはほど遠いところがありますが、地域の特色を生かしたユニークな教育を一部に組み入れる必要があるのではないか。このことに期待をして私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうごいます。 ○議長(蛇口原司君) 拝聴しました。--------------------------------------- △散会 ○議長(蛇口原司君) 本日はこれをもって散会いたします。             午後3時40分 散会...